宝尽くし
工芸に用いられる万人に好まれる
吉祥文様です。 この写真は前にも
部分的に紹介した 興福院袱紗の
模繍の全体像です。一昨年の紅会
全国展に出展したものです。これなどは
典型的な宝尽くし文様で
右上の寿の文字と宝の下敷きになっている若松の枝の丸がさらに
おめでたさを盛り上げています。
このような吉祥文様は
もともとは中国から伝わったものですが
日本独自のものも加わって、主に 丁子
隠れ蓑 隠れ傘 宝鍵 巻物 宝珠 宝袋
七宝 分銅 などが一般的な宝尽くし文様です。
このラインナップを見ると人間の今も昔もかわらない欲があらわれていて
なんだか笑えてきます。 もともとは中国の八宝が伝わったものですが、
中味はずいぶんと変化しています。 そのほかにも 犀角 珊瑚 鶴 亀
松竹梅などおめでたいものならなんでもOK、組み合わせはいろいろです。
です。 この十字の文様はどういう意味か
謎なのですが、興福院袱紗の中でもこの
袱紗のみにある模様です。使われている色
も 赤 黒 金 というなんとなく西洋的な
配色であるのも面白いです。 そうしてみるとこの袱紗の全体像はまるで
クリスマスリースのように見えてきませんか。 時は元禄 徳川綱吉の
時代です。 そんなわけあるのかないのかわかりませんが、私はこれを
クリスマスからお正月にかけて家に飾ろうかと思っています。
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ahbonさんの、興福院掛袱紗写しを見ていて、この技法と色合いはいつか使いたいと思っていました。隠れ笠の色鮮やかな組みぬいの部分です。→NUI... [続きを読む]
いや〜 綺麗ですね。
私のとは比べ物になりません。
金糸の留めは、いまだにぐちゃぐちゃ(笑)
投稿: あおもり | 2008年5月21日 (水) 23時41分
すばらしい袱紗ですね!アップの写真にもブレなし
これだけは、やらなかったことが心残りなんですよね・・・。お忙しい中、最後まで丁寧な針目で完成させられたahbonさん、さすがです。
投稿: ノブ | 2008年5月22日 (木) 08時50分
お見事!!!
これ、クリスマスリースにしてはいけないのでしょうか、、、
投稿: きぬえ | 2008年5月22日 (木) 20時35分
あおもり様
金糸駒取りむずかしいですよね。 台からおろしてしばらくしないと
結果がみえないですものね。金糸の照り返しで目がチカチカしますしね。本金糸値上がりしちゃったからもうこんなにたくさん金糸を使う作品はやらないかも。
ノブ様
若いうちに是非チャレンジしてみて。 もうこんな体力使う作品は二度とできません。
きぬえ様
ほんとにクリスマスリースでしょ。江戸時代の職人さんのデザイン力
すごいです。配色も派手だけど今より室内が暗かったからこれでちょうどよいのだと思います。
投稿: ahbon | 2008年5月22日 (木) 22時24分